2013年 03月 21日
映画10 ひまわりと子犬の7日間 |
この映画の宣伝に山田洋次監督の弟子ということが大きく書かれていました
山田洋次さんの名前を利用して
犬のかわいらしさとかわいそうなところを見せ付けて
一山当てようという魂胆かと思って見に行きましたが
平松恵美子監督ごめんなさい僕があさはかでした
この映画のメインは保健所での不要犬の殺処分ですが
映画が始まるとしばらくは無声映画です
この老夫婦と犬の物語が無声映画で続きます
黒い背景に文字が出て「子犬が産まれた」とか
「この仔はおじいさんと遊ぶのが大好きだった」とか字幕が出て
映像が続きますせりふはまったくありません
「おばあさんが死んだ」お葬式の場面の後に
「おじいさんは施設に入ることになった」
犬と別れる事になったおじいさんは犬のそばにひざまずいて涙をこぼしながら犬に語りかけます
犬は寂しそうにおじいさんを見上げます
おじいさんの涙が犬の顔にこぼれて落ちます
おじいさんは車に乗って家を出て行きます
犬は首輪を引きちぎっておじいさんの後を追いますが
「雨がおじいさんの匂いを消してしまった」
というところまで行って保健所の物語が始まります
この監督の良いと思うところは
殺処分について良いとも悪いとも言っていません
行政の立場として保健所の所長さんが出てきます
この主人公は保健所の職員で引き取った犬の世話をしています
引き取って7日間のうちに引き取り手が無い犬は殺処分にされるということになっています
この主人公は何とか里親を探して1匹でも命を助けようとして
時々7日ルールを無視しているようで
「君ちゃんとルールを守ってくれないと困るんだよ
市民の人たちはみんな君と同じ考えの人ばかりではないんだよ
市民からの苦情が舞い込んできたら面倒なことになるんだから
それに犬の餌代だって市民の皆さんの税金から出ているんだから
処分する犬に余計な餌を食べさせるくらいならさっさと処分しろなんて言われて
施設そのものが存続できなくなるかもしれないんだからね
ちゃんとルールは守ること良いね」
そんな中で主人公は仕事をしています
映画の中では主人公が殺処分するところもきちんと描いています
主人公には二人の子供がいます
小学生の姉と弟ですそして里親になって引き取った2匹の犬と暮らしています
母親は5年前に事故で亡くなっています
お姉ちゃんも里親探しに協力してくれていて
犬を飼いたいと言う同級生のところに行きますがそこのお母さんは
「ごめんなさいうちでは無理なのいい人が見つかると良いけど
そうじゃないと処分されちゃうんでしょ」
娘は処分について父親に聞きます
父親は処分について丁寧に説明しますが娘にとっては犬が殺されてしまうということはショックです
それ以来父親と話さなくなります
そんな時に無声映画に出ていた犬が野犬になって
畑を荒らすからということで捕獲されます子犬が生まれています
子犬を守るためにこの犬は人間になつきません
噛み付く犬は引き取りたいという人がいても噛み付いて問題になるといけないので
引き渡さないというルールがあります
主人公は何とかこの犬の心を開かせようと施設に泊り込んで語りかけます
そのころ娘は女性の獣医さんの支えもあって父親の仕事を理解してきます
主人公は又もルールを無視して処分を延ばしていますが
いよいよ処分にの前日になって
娘はお父さんに言います
「私あの犬の名前を付けたのひまわりまだ1日あるんだから諦めたらだめ後一日頑張ろう」
処分の当日時間が迫ってきます
主人公は犬のおりの中に入ってしゃがみこんで犬に語りかけます
ごめんな結局守ってやれなかった
主人公の目から涙があふれます
床に涙が落ちます
犬はじっとその涙を見ています
犬の記憶の中におじいさんの涙が浮かんできます
犬はそっと主人公に近寄ると主人公を慰めるように
主人公の手をなめ始めます
やっと心を開いてくれた犬は子犬ともどもこの家に引き取られることになります
映画は愛犬祭りというイベントで里親探しを積極的に進めているところで少しは前に向かって
環境は良くなっていく予感をさせて終わります
最初の無声映画で描いているところと言い
犬をかわいいだけで描いていないところといい
良いバランスで描いていると思いました
大変心温まる映画になっていました 5点
by ichiichik
| 2013-03-21 17:05
| 映画
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